こんにちは!INUMESHI店長のもんどです!
前回は、「ペットフードの種類は?それぞれのメリット・デメリット」について、ご紹介しました。
ペットフードには、様々な種類がありますね!ただ種類を理解していても、世の中にはたくさんのペットフードがあるのでどれにすればいいのか悩むと思います。
そんな時、何を基準にしてフードを選んだら良いか、今回は「正しいペットフードの選び方」についてご紹介したいと思います。
目的別に選ぼう
ペットフードには、目的別に主に「総合栄養食」「間食」「療法食」「その他の目的食」に分けられます。
総合栄養食

一般社団法人ペットフード協会において「犬又は猫に毎日の主要な食事として給与することを目的とし、当該ペットフードと水だけで指定された成長段階における健康を維持できるような栄養素的にバランスのとれた製品」と、定義されています。
つまり総合栄養食は、「毎日単体で与え続けても健康を維持できる栄養バランスの整ったペットフード 」のことを言います。
総合栄養食として認められる基準
日本で総合栄養食としてペットフードを販売するためには、ペットフード公正取引協議会が採用している「全米飼料検査官協会」(通称AAFCO/アフコ)が定めた基準を満たす必要があります。
「全米飼料検査官協会」(通称AAFCO/アフコ)とは、アメリカの機関「The Association of American Feed Control Officials」の頭文字をとってAAFCOと呼ばれ、ペットフードの栄養基準や原材料、表示に関する基準などを定めています。
AAFCOは、ペットフードの安全性や表示などに関して、基準やガイドラインを設定する機関になります。
なので認定や承認など、ペットフードの合否判定を行うことはありません。
基準として提示したガイドラインに従い、「ペットフード公正取引協議会」が分析・試験をし、実際に動物に与える給与試験によりクリアしたものが、総合栄養食として認められます。
AAFCO以外の基準
AAFCO以外にも、「欧州ペットフード工業連合会」(通称FEDIAF/フェディアフ)といって、ヨーロッパ各地のペットフード機関により構成されたペットフード製造に関するガイドラインを定めている機関があります。
「FEDIAF」とは、The Europe Pet Food Industry(Federation)の略で、アメリカの「AAFCO」と同様に栄養基準の設定や原材料、表示などフードの安全性についての目安を決めます。
AAFCOと異なる点は、基準を設定するだけでなく加盟企業に対してペットフード製造過程への「HACCP(ハサップ)システム」を義務付けています。
HACCPシステムとは、「最終製品の検査だけに頼らず、すべての工程を通して食品の安全性を確保する」という考えのもと、食品製造行程中に危害防止につながる重要管理点をリアルタイムで監視・記録していくシステムを指し、人間の食品にも導入されている厳格な仕組みです。
そのため、十分な安全体制のもと製造されているといえます。
総合栄養食の基準は「AAFCO」が元になっている事もあり、日本国内での認知は「AAFCO」が一番高いようです。
あまり知られていない「FEDIAF」ですが、ドイツやイギリスなどのペット先進国なども加盟しているため信頼性が高いといえるでしょう。
AAFCOだからって安心しないで!

AAFCOの基準は、あくまでも1つの目安です。
もちろんペットフードを購入する際に、AAFCOの基準をクリアしているものを選ぶのは良いことです。ですが、「AAFCOなら安心」と考えることはできません。
AAFCOは、パッケージ表示に関しては非常に厳格な規制を設けているのですが、原材料についてはそれほど厳格ではありません。基準値以内であれば、原材料は何を使うかはメーカーに委ねられているということになります。
残念なことに人工添加物などを使用し、AAFCOの基準をクリアしているペットフードもあるのが現状です。
なので「AAFCOが定める栄養基準を満たしている」=「安全である」とは言い切れません。
ペットフードを選ぶ際は、AAFCOの基準をクリアしているものを選びつつ、原材料や製法もしっかりと確認する必要があります。
間食

ペットとコミュニケーションを取るために使用したり、ご褒美として使用される主食ではない限られた量を与えることを目的としたペットフードです。
一般的には「おやつ・スナック・トリーツ」などと、表示されています。
間食は、1日の摂取カロリーの20%以内、もしくは10%以内に抑えることが求められます。
普段の主食を減らさずにおやつなどを与えてしまうと摂取カロリーをオーバーしてしまうので、おやつを与えた時は、与えたカロリー分の主食を減らすようにしましょう。
また、間食の更に細かい分類としては、素材などから「練り加工品・素材ベース品・ガム・デンタル・菓子類・他」などに分けられています。
療法食
病気の治療内容に合わせてフードの栄養成分の量や比率が調節され、治療補助を目的としたペットフードです。
※療法食は、獣医師の指導のもとで与える必要があります。
病気になってしまった時には、症状に応じて特定の栄養素を増やしたり減らしたりするなどして、普段の食事内容から変えなければならない場合があります。また、治療のために食事管理が欠かせない病気もあります。
しかし、病気に合わせた栄養バランスの整ったごはんを毎日手作りすることは難しいため、少しでも飼い主さんの負担を減らし、栄養バランスを正しくコントロールするために、病気の種類や症状に合わせたさまざまな療法食があります。
その他の目的食
「総合栄養食・間食・療法食」のいずれにも該当しないペットフードです。
特定の栄養の調整やカロリーの補給、嗜好性増進などの目的を満たすもので、他のフードと一緒に与えられることを意図し作られたものを指します。
使用の目的によって「一般食・栄養補助食」に分けられます。
一般食は、嗜好性増進が目的で与えるペットフードで、一般食(おかずタイプ)・副食等と表示されます。栄養補助食は、特定の栄養の調整やカロリー補給などを目的にしたペットフードで、栄養補完食・カロリー補給食・動物用栄養補助食(動物用サプリメント)等と表示されます。
ライフステージに合わせて選ぼう
ペットショップからペットを迎え入れた際に「このフードを与えてください」と言われて同じフードを与え続けていたり、フードを一度も変えたことがない方もいらっしゃると思います。
ですが、ペットは年齢やライフステージ(成長段階)によって必要になる栄養素が異なります。
年齢を重ねるにつれ運動量や基礎代謝が低下し、運動量を維持するための筋肉や骨格に必要な栄養素も変わるため必要なカロリーの量にも違いがあります。
ですので、ペットの年齢やライフステージに合ったフードを選び与えるようにしましょう。
わんちゃんの場合、ライフステージは「哺乳期」「離乳期」「成長期」「成犬期」「高齢期」に分けられます。
哺乳期(生後30日頃まで)
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生後30日程度までの期間を哺乳期といます。
この時期のわんちゃんに必要な栄養は、すべて母犬の母乳から取り入れます。
子犬は、生後48時間頃までに母乳(初乳)を飲むことによって、母親のもつ免疫(移行抗体)を腸から吸収し、母犬の抵抗性をえたり、エネルギーを高濃度で供給するといった大事な役割があります。
また、同時に水分を補給することで、循環血液量を増加させる働きもあります。
そのため生まれたすぐの無防備な子犬には、できる限り初乳を飲ませることが望ましいとされています。母犬の母乳が十分に出なかったり、何らかの事情で母乳を飲むことができなかった場合は、わんちゃんの栄養量を満たす犬用ミルクを与えます。
牛乳は、牛乳中のラクトース含有量が犬の母乳の約3倍とはるかに多く、牛乳を多量に与えると下痢を起こし、ひどい場合は脱水状態に陥ったりすることもありますのでオススメはできません。
授乳期の子犬は体温の維持機能がまだ十分ではありませんので、ミルクの温度にも注意が必要です。体温が下がると衰弱してしまうので、普段からの体の保温に加え、ミルクの温度にも気を付けてあげましょう。
ミルクの回数は、生後2週間頃までは1日6~8回、それ以降は4~5回に分けて与えましょう。
ミルクを与える際、哺乳瓶からミルクをうまく飲むことができない場合、呼吸器(気管や肺)にミルクを誤って吸い込んでしまい、肺炎を起こすことがあります。
鼻からミルクが出てきてしまった場合は、一度哺乳をやめて呼吸状態の確認をしましょう。ミルクを飲む前と違いを感じたら、すぐに病院に相談してください。
離乳期(生後20~60日頃まで)

生後20日から60日程度までの期間を離乳期といいます。
この時期のわんちゃんは、ミルクのみの食事から少しずつ離乳食を食べるようになります。
生後20日頃から乳歯が生えはじめてくるため、離乳食を食べ始める時期ですが、フードに慣らしていくことが重要なポイントです。
まだ食物を消化する能力も低いため、離乳食にはやわらかくて消化のよいもの、エネルギー密度が高いフードを与え、補助的に母乳か犬用ミルクを与えます。
また、この時期は骨や筋肉などの発達に欠かせないタンパク質、骨の発達などに必要なカルシウム・リン・マグネシウムなどのミネラルなどを十分にバランスよく摂取することも重要です。
離乳食は、ペット用品店などで市販されている犬用のものを利用すればOKです。
どうしても離乳食が手に入らない場合には、子犬用ドライフード(1歳まで向けなど)をミルクやぬるま湯でふやかして与えましょう。
また、この時期になると、ミルクを飲む量も増えるため、だんだん哺乳瓶を使用せずにお皿から直接ミルクを飲むようになります。
成長期(50日〜1歳頃まで)
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小型犬・中型犬・大型犬・超大型犬では、成長期の期間が変わっていきます。
それぞれの成長期は、下記の通りです。
- 小型犬(生後50日〜10ヶ月程度)
- 中型犬(生後50日〜1年程度)
- 大型犬(生後50日〜1年半程度)
- 超大型犬(生後50日〜2年程度)
生後50日ごろの離乳後から1歳までの幼犬は、徐々にミルクを飲まなくなり、代わりに子犬用のドッグフード中心の食事に切り替わります。
成長期のわんちゃんは、骨格・筋肉など身体組織が発達する大切な時期で、体の大きさと比較して高い栄養価が必要です。
生後4ヶ月頃までは1日3~4回、離乳食を与えましょう。子犬用ドッグフードをお湯やミルクでふやかしてもOKです。
生後6ヶ月頃になったら一度にしっかり食べられるようになるので1日2~3回、様子を見ながらふやかすのをやめ、カリカリのフードを与えましょう。
生後8~10か月頃には食事の回数を1日2回に移行していきましょう。
成長期の子犬には、高カロリーで栄養価の高いフードや消化器官が未発達ですので消化・吸収のしやすい原材料を使用したフードを選びましょう。
この期間は成長が著しいので、栄養不足は骨への負担や発育不全につながります。逆に与え過ぎは脂肪細胞数が増えて将来肥満が心配になります。
骨の成長のためにカルシウムは大切ですが、サプリメントなどで過剰摂取すると骨格の形成異常の危険もありますので注意してください。
成犬期(1~6歳まで)
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1歳~6歳までの期間を成犬期といいます。
この期間のわんちゃんは、体の成長が完成期に入るため、成犬用ドッグフードを1日2回与えましょう。
わんちゃんは与えた分だけ食事を食べてしまうので、1日の給与量は必ず量るようにしましょう。
身体が十分に成長している時期で、必要とされるカロリーは、同じ体重の成長期の時と比べ半分ほどとなります。のため、1歳を過ぎても子犬用のフードを与えているとカロリーオーバーで太ってしまいます。
成長が止まったら成犬用のフードに切り替えたり、活発で運動量の多いわんこには高カロリーのフード、家の中で静かにしていることが多いわんこには低カロリーのフードと運動量や体格に合わせてあげる量を調整しましょう。
避妊や去勢手術をしたわんこは、ホルモンの関係で基礎代謝エネルギーが低下するため太りやすくなります。手術前と同様の食事量を与えているとカロリーオーバーになるため、手術後は食事量を10~30%減量させましょう。
5~6歳くらいから、エネルギーの消費量がだんだん落ち、運動量も減ってきます。若い頃と同じ食事を与えていると肥満になってしまいます。
体重やBCS(ボディ・コンディション・スコア)を参考に、肥満気味のわんちゃんには、高タンパク・低カロリーのフードを選ぶようにしましょう。
ボディコンディションスコアの見方はこちらの記事から
高齢期(7歳以上)
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7歳以上の期間を高齢期といいます。
高齢期になると成犬期よりもさらに運動量や体力が落ち、必要なエネルギー量も少なくなります。
成犬期と同じカロリー、給与量のフードを与えているとあっという間に肥満を招いてしまうので注意しましょう。また、脂肪の多い食事は肥満や高血圧など病気の原因となります。
高齢期は、骨や肉の老化が進んでいくために必要なタンパク質の量は増えてきます。シニア用のフードに切り替えたり、できるだけ高タンパク・低カロリーのフードを選ぶようにしましょう。
歯が悪くなってきたら、お湯でふやかしたドッグフードを与えます。
11歳を過ぎてさらに老齢化すると1度に食べられる量が減るので、1日3~4回に分けて与えるようにしましょう。高齢になると足腰も弱ってくるため、関節を動かしやすくする成分である、グルコサミンやコンドロイチンが含まれたドッグフードがおすすめです。
他にも妊娠後期(5週~)の場合、必要とするエネルギーの量が通常の2~4倍に増えます。
妊娠期や授乳期のわんちゃんには、高カロリーで消化のよいものをフードを与えるようにし、特にカルシウムやリンといったミネラルを多く含む食事で積極的に栄養を補うようにしましょう。
まとめ
今回は、目的別のフードとライフステージに合わせたフードついて詳しくご説明しました。
わんちゃんの食事を選ぶ際には、総合栄養食やAAFCO・FEDIAFの表示を確認することが大切というのが分かりましたね!また、ライフステージによって必要な栄養素も違い、正しい給与量で与えたり、フードを切り替える必要があります。
わんちゃんの一生は人より短いものになります。家族である愛犬が健康で長生きできるようにしっかりと食事管理を行ってあげましょう!
次回は、「ドッグフード選びのポイント」についてご紹介します!お楽しみに!